| 志太郡衙の風景21 | |
| 寒蘭・春蘭
寒蘭「不老白」小林正秀さん栽培 志太郡衙跡では福島久幸さんの「金泥書・華の土壌」展が続いている。その福島さんは、父・繁さんの米寿を祝って「米寿翁養蘭記」を金泥書にして贈った。24年前のこと。歯科医師の父・繁さんは土佐寒蘭の育成にも情熱を注いだのであるが、「清楚幽香なる寒蘭や春蘭を栽培し、種々の培養試験を行った。……交配新種など懇ろに生育を試みるが、その発芽並びに開花は50年を待つべきか。……風雅の心情と科学心とはまさに養蘭の醍醐味というべきか」と久幸さんは記す。同時に、「養蘭記」が久幸さんの金泥書探求のきっかけになった。 11月21日から3日間、郡衙跡にて「東洋ラン、古典植物展」が行われた。そこには手入れの行き届いた寒蘭・春蘭だけでなく、松葉蘭や葵の類、合わせて百鉢が並べられ、「清楚幽香」が駿河愛蘭会・小林正秀さんと杉本四郎さんによって慎ましく演出されていた。胡蝶蘭やカトレアなど華やかな洋蘭はよく贈物につかわれて、おなじみ。一方寒蘭・春蘭、その「楚々と咲く何気なさに粋や軽みを感じ取り、その姿を好ましいとするのは、日本人の感性でしょう」と小林さん。「不老白」と名付けられた寒蘭の、細身の葉を侍らせてすっと伸びた茎に、茎と同じ薄緑色花弁をつけた花のいくつか。添うて、すらりと立つ茎先に実がひとつ。はぜると、カタクリ粉よりも微小な種が散るという。「見どころは、じつは葉にもあります。一度しだれてまた葉先があがる。その曲がりぐあいが何ともいえない」と小林さんは葉の曲がりを指でなぞる。 春蘭は春3月に花を咲かせる。彼らの根元を見るとすでに蕾が出ている。日本春蘭は一茎に一花をつける。「米寿翁養蘭」、私は、その楽しみを眼にすることができたばかりか、お近づきにと、蕙蘭(けいらん)一鉢を頂戴した。花はいい香りがするとのこと。 | |
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